新しいエネルギー地政学:ペトロステートとエレクトロステートの対決、さて日本と韓国はどうすべきか

日時
2026年2月6日(金) 10:00~11:30
聴講形式
本講演会(オンライン)は、①と②の両方の聴講案内をします。
 ①ライブ聴講(Zoom)
 ②後日聴講(YouTube:2週間限定となります)

※お申込みされた方へは①のURLを開催日前日夕刻までに、②のURLを開催後数日内にお送りします。
(①は事前登録が必要です)
出演者
田中 伸男 氏(元国際エネルギー機関(IEA)事務局長) 

概要

国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は今、世界は初の真のエネルギー危機に直面していると言う。IEAは1974年の石油危機で作られたが、今の危機はもっと深刻で複雑だ。エネルギー安全保障に加え脱炭素に向けた各国の政策が巨大なエネルギー変革を必要とするからだ。これに加えてトランプ大統領の米国が先行きを全く不透明にしている。この戦いで勝者と敗者が出るのは必定。
トランプ大統領はシェールガス革命以来の化石燃料頼りのエネルギードミナンス戦略(ペトロステート戦略)で勝者を目指す。トランプの米国はサウジとロシアに接近しペトロステート同盟を作ろうとしている。中東は脱炭素によって平和になるのかどうかが試される。
これに対抗するのが中国で再生可能エネルギーと原子力、EV、バッテリー、重要鉱物を支配する電化戦略でスーパーパワーを目指すエレクトロステートだ。欧州はREpowerEU戦略で脱ロシアと脱炭素の同時実現を狙うが、政策内容は中国と同じでありトランプのNATO戦略やウクライナ対応の中で中国に近づく。エレクトロステート連合が形成される。
日本と韓国はペトロ、エレクトロステートのどちらの連合に付くべきだろうか。化石燃料では最も脆弱なエネルギー構造を持つが、両者とうまく付き合って次世代原子炉とクリーンエネルギーのサプライチェーンを作れれば勝者になれる。特にこれからの原子力は持続可能性の3条件を満たすことが必要だ。小型炉による安全、廃棄物処理の容易さ、核兵器開発にならない技術の三つである。キヤノングローバル戦略研究所では女性だけをメンバーとした研究会を立ち上げ提言を得た。私はこのための米国、韓国と協力としてJAKUS(日米韓原子力協力)を提案する。アイダホ国立研究所の統合型高速炉(IFR)技術で福島のデブリを処理できる。また原子力推進の潜水艦開発(北東アジア版AUKUS)も重要だ。当面は日韓でアラスカからのLNG関連投資でトランプと組める。ブルー水素のサプライチェーンも米国と組める。
他方、エレクトロステートの中国に対してはNACEP(北東アジアクリーンエネルギープラットフォーム)と言う構想を提案している。電力連系線を中韓と繋ぎ風力、太陽光発電の相互融通を図る。パイプラインでクリーンな水素をシェアすることも考えられる。これらは今の欧州がエネルギーユニオンの深化のために計画していることだ。欧州は第二次大戦後のECSCとユーラトムから協力が始まったが、将来的にはクリーンエネルギーでの協力が北東アジアの経済連携や平和構築に結びつくのではないか。またトランプの関税攻勢に対抗してCPTPPを活用すべきだ。英国はすでに加盟した。今後EU、中国、台湾、韓国をCPTPPに呼び込みエレクトロステート連合によるグリーンな自由市場作りを狙うのも面白い外交戦略になりうる。安倍さんの後継を狙う高市外交の見せ場である。(講師より)

出演者紹介(敬称略)

田中 伸男

(たなか・のぶお)
元国際エネルギー機関(IEA)事務局長

1972年東京大学経済学部卒業後、AIESEC米国企業研修。73年に通商産業省(現経済産業省)へ入省、産業資金課長、経済産業研究所(RIETI)次長、国際経済部長など。在ワシントン日本大使館出向二回(1982年書記官、1998年公使)、経済開発協力機構(OECD)勤務二回(科学技術産業局長)、2007年から2011年の間、国際エネルギー機関(IEA)事務局長。IEAでは「包括的なエネルギー安全保障」の概念を開拓した。また中国インドなどの非加盟国の取り込みを進めたほか、気候変動、再生可能エネルギー、低炭素エネルギー経済への移行などに焦点を当てた活動を推進。

2015年から20年まで公益財団法人笹川平和財団理事長次いで会長。現在はInnovation for Cool Earth Forum(ICEF)運営委員会委員長、 Tanaka Global Inc. CEOの他、財団法人日本エネルギー経済研究所特別フェロー、日本エア・リキード社Senior Executive Advisor。キヤノングローバル戦略研究所で次世代原子力研究会座長を務める。教育活動では東京大学公共政策大学院客員教授の他、米国Columbia大学 Center on Global Policy でDistinguished Fellow 。

参加形態

Zoomを利用したオンラインによる聴講
Web講演会にはZoomを使用します。
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YouTubeを利用した後日聴講
開催日から数日経過後に、2週間限定でYouTube配信します。

※お申込み※ 2月3日(火)17:00まで
※動画視聴のURLはお申込みいただいた方に限りお送りします。
 代理出席、および動画の複数名視聴・録画・転送等はお控えくださいますようお願い申し上げます。
※通信費用は各自でご負担いただくことになりますので、ご了承ください。

ご聴講の際のご注意をご確認ください。

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